無事9周年を迎えることができました。
改めてお客様、代理店の皆様、協力会社の皆様、社員、そして家族に感謝申し上げます。
現場しか知らないディレクターの私が独立し、どうにかこうにか9年間も仕事を続けられているのは、単に運が良かったからです。
今年もささやかなお祝いを、身内だけですが行いました。
自分なりになぜ9年間続けられているのかを考えてみると、
以下の3つのおかげだと考えています。
1)検索エンジンの勃興期だったから
弊社が創業した2006年に、佐々木俊尚さんの『検索エンジンがとびっきりの客を連れてきた!-中小企業のWeb 2.0革命』という書籍が出版されています。
弊社もこの検索エンジンによる集客の恩恵を受けた中小企業です。
起業してしばらくは制作させて頂いた作品のほとんどをフラッシュムービーにして公開していたました。
これだけが唯一の営業行為でした。
それでも検索エンジン経由で問い合わせを下さる企業がしばしばあり、その問い合わせに全力で応えていました。
それ以外には何をすべきか全く分かりませんでした。
現在は検索による集客は複雑化・高度化しており、またWebで集客する映像制作会社も増えました。いわゆるテレビやCMの現場を経験しないまま映像制作業務に新規参入する方々も急増しています。
今となっては、テレビディレクターが起業してすぐに、しょぼいWebサイトで集客できるということはないのではないかと考えています。本当にラッキーでした。
2)動画だったから
映像制作会社としての有り様を他の業界と比較して考えることがあります。
私はよくWeb制作会社と比較して考えます。
結論から言うと、映像制作の方がアナログで、市場が小さく、業務内容が不明瞭と考えています。
アナログとなところは、ノウハウが言語化されておらずまた開示もされていないこと、撮影という「現場」があり、それは瞬時の判断が要求されるものであること、またデータの活用がWebサイトほどには進んでいないことなどを指しています。実用書の数もセミナーの数も分析レポートも成功事例も、映像制作とWeb制作では桁が3つぐらい違うんじゃないかと思っています。
市場が小さいというのは、Webで集客するような案件をメインの業務にしていて上場している映像制作会社が無いことからもはっきりしていると思います。
映画やテレビ番組、CMの制作会社はマスメディアを支える存在ですので別に考えています。
規模の小さな案件しかないので、大手が手を出してこず、同じような規模の会社ばかりで強力な競合もないという状況だったと考えています。
このことが私のような者でも仕事を依頼して頂けた理由の一つだと考えています。
今後は上場する会社も出てくることでしょう。LOCUSさんや揚羽さんがその最先端かもしれません。
また現在は動画制作のクラウドソーシングが一般的になりつつあります。私自身は映像制作会社を経営する上で、クラウドーソーシングで仕事を得るのと、直接お客さまから注文を頂くのはちょっと意味合いが違うのではないかと考えています。
工程の不明瞭さは、Webのようにプロデューサー、ディレクター、デザイナー、コーダーといった職種による業務内容の分類が明確でない、また明確にできないということがあります。
3)ディレクターだったから
長らく分業だったカメラマンとディレクターですが、DVというデジタルビデオの規格が立ち上がり、SONYのVX1000という名機が登場して、ディレクターが自らカメラを回すようになりました。今では当たり前のスタイルをいち早く実践していたことが、その後の制作環境に適応できた理由だと思います。
そして、これからはこれまでの生き延び方を続けるのではなく、次のステージに上りたいと考えています。
具体的には3つ考えています。
1)映画を作る
2)メディアを運営する
3)データを軸にする
10年目には盛大なパーティを開けるよう、また1年精進します。