先日、ある経営コンサルタントの人と雑談をした時のことだ。
コンサルタント(以下コ)「ところで御社の映像制作は、B社とどこが違うんですか?」
(私)「う〜ん。仕上がりが違うつもりなんですが…」
(コ)「どんな風に違うんですか?」
(私)「スーツで例えると、B社は大手のAOYAMAさんとかkonakaさんのような全国チェーンのお店で、売っているのは吊しの3サイズのスーツ。ウチはオーダーメイドをやってる町の仕立屋ですかね。」
(私)「着てみて確かに違いはある。そしてその違いは、あまり目につかない細かいこだわりが集まって出来ている。なので、こだわりがないお客さん以外は商売にならない。そしてこだわりのあるお客様は減っている…みたいなところがありますね。」
(コ)「なるほど。ところで、そのこだわりってでうまく説明できているんですかね…」
(私)「…できてないっす…」
そう、自分たちが大切にしているものを表現できていなかった!
何かを表現する事を仕事としておきながら…これではイカン。
という訳で、まずは社名の由来から。
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会社名「media for you 」とは、そのまんまなのですが
「あなたのためのメディア」ということです。
あなたというのは、マスメディアのスポットライトが当たらないけど面白い人のことです。
自分はテレビディレクターを15年やりましたが、いろんなことを実現できませんでした。そんなことの一つに「マイナーネタ」の番組化があります。
自分としては視聴者に訴えるものがあると提案するも、「番組のカラーに合わない」「マイナーすぎて視聴率が取れそうにない」と番組化できない事がありました。
視聴率1%で約40万人が見ているとされています。 (私はよく「視聴率1%で100万人」と聞かせれていましたが…)
視聴率は2桁が分かれ目ですので、つまり最低でも400万人〜1000万人が興味を持ちそうな内容と判断されなければ番組として成立しないのです。
私は特に民放のバラエティー番組や情報番組を多く担当していたのですが、そもそもはNHKスペシャルに憧れて番組制作の道に入ったという価値観の持ち主です。
NHKスペシャル等は作ったことがないので正確なことは言えませんが、やっている人に聞くと視聴率よりも評価が大切とのことだそうです。つまり見識の高い上層部から「いい番組だ」と言われればOKなのだそうです。つまり視聴率とは別の価値基準があるのです。
そんなNHKスペシャルを指向しながら視聴率競争を戦っていたので、もともと「ズレ」があったのかもしれません。
でも、そんな「ズレ」故にうまくこともありました。
ただそんな「ズレ」を感じたまま流行ものを追っかけていて、やがてふと思う事が増えてきました。
たしかに視聴率が取れるネタというのは面白い。
でも、視聴率が取れると考えて、勝手に選択肢を狭めて、同じようなものばかり作ってはいないだろうか?
たしかに数100万人の人の興味の対象ではないかもしれないけど、「マイナー」かもしれないけど、数万人の人達が熱狂する世界っていっぱいある。
本や映画や音楽。低予算で小さいマーケットに向けて自分の世界をぶつけている人はいっぱいいる。けれども、テレビにはそういうレンジがないなあ。
なのでテレビを諦めて、それ以外の方法で映像を作ろうと考えた時にまず「マイナーかもしれないけど、数万人の人達が熱狂する世界で生きたい」と考えました。
まだまだそんな世界では生きれてませんが、そんなことを考えてこの会社名にしました。
先日テレビ番組制作会社にいた頃の先輩と飲む機会がありました。先輩は、それまで私が会社を興したことを知らなかったのですが、会社名を言うと何も説明していないのに私の意を汲んで「おまえらしいなっ」と言ってくれました。初めてでした。とっても嬉しかったです。
という訳でこんな会社名になっているのです。