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企業のコミュニケーションにおいて重要なのは、語り口か、内容か?

ドキュメンタリーを信奉している私にとって、一般の人に「セリフ」を言ってもらうという手法は、ありえないと思っていた。
なぜなら企業の映像とは営利を目的とする組織が意図を持って制作したものであり、視聴者は映像の中で語られる内容を斜めに見ているものだと考えているからだ。
したがって、「演技の訓練を経ていない素人が口にする「セリフ」には何の力もない」というのが持論である。

しかし、自然な語り口を重視して、普段通りの語り口を狙ってインタビューすると、文言や内容など言葉を文字として考えた場合に明確な言葉を引き出すことができなかったり、話が長い、分かりにくいといったものになってしまうこともある。

「それも味ですから」というのが私のスタンスだが、企業の上層部から、「我が社としては望ましくない」ということにもなることもある。

そこをどう解決していくかが仕事であり、腕の見せどころでもある。

そんなことを考えていると、KDDIの2015年の採用ビデオを見かけた。

前半の社史の部分は、当時の映像や写真をふんだんに使って企業の姿勢が表現されている。
その後に、社員の方々が次々に会社として打ち出したいメッセージをカメラ目線で語りかけるというシーンがある。

私自身はこれまで、このような手法をあまり用いてこなかったが、この映像を見て、「これはこれでありなのかもしれない」と思った。
少なくともKDDIに好意的な人には訴えかけるものがあるように思う。

というのも、企業のコミュニケーションに対して、世間では以前ほど批判的な眼差しがないのではないかと感じることが多くなったからだ。

それは、企業の宣伝広報活動のスタイルや、人々の信用というもののありかた、広告手法の流行り廃りと、関係していると思うが、最も大きいのはジャーナリズムがあまり求められていない今の時代の空気というものの影響が大きいのでは?と感じる。

今後もその傾向は強まるだろう。そしてこのような手法の企業映像も増えて行くだろう。

そんな時代にどのような企業の映像を作るべきか?
自分はできることなら、どこまでもドキュメンタリーで行きたいと考えている。

代表取締役
里田 剛

仕事の魅力を映像化することで、中小企業を元気にする企業映像コンサルタント。1993年関西大学卒業後、テレビ番組制作会社に入社。テレビ東京「開運なんでも鑑定団」などでディレクターを勤めた後、TBS「サンデー・ジャポン」でサンジャポフリージャーナリストとして活躍。2006年、メディアフォーユー株式会社を設立し、企業映像の制作を開始。2010年、ITVA-日本コンテストで金賞を受賞。2013年、映文連アワードで準グランプリを受賞。2011年、ドキュメンタリー映画「マジでガチなボランティア」が、ハリウッドの映画祭、LA EIGA FESTで長編映画部門グランプリを受賞。

テレビ、映画で培った制作で、中小企業の魅力を映像化している。

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