先週、カンボジアに撮影に行ってきた。
今年の10月から劇場公開される作品のための取材である。
そこで感じたことを、これからシリーズで書いておこうと思う。
1)取材対象との距離感について。
今回の取材をしている間にとある関係者の方から
「やっぱり撮っている人の意図が見えちゃって自然じゃないのよね~」
とポツリと言われた。
カンボジアの村の人を取材していた時のことだ。
「いきなりカメラを向けて、さあしゃべれという感じが嫌だ」というのだ。
「まあ時間がないからしかたないのかもね~」とも言われた。
またその人は移動中にある映画を紹介してくれた。
カンボジアで生まれ、クメール・ルージュの虐殺を生き延びた映画監督リティー・バニュの「さすらう者たちの地」。
私は、その監督もその作品も知らなかった。
自分はなんだかんだ言っても、テレビで覚えた取材方法しか知らないんだなと改めて思った。
取材されるという行為は、カンボジア人であっても日本人であっても非日常的なものだ。
一方、取材する側にとっては、作品を作るための日常である。
締め切りや予算や思惑がある。
取材される側には、そんなことは全く関係がない。
このギャップをどう乗り越えるかが、制作者の力量である。
私は全く乗り越えられていなかったのだ。
そこで、いつものようにもがくのだが、最後はやっぱり
「何のためにつくるのか」
というところに帰る。
「誰が観て、どう感じでもらえると嬉しいのか」
これに尽きるのかもしれない。
そんな貴方には是非この本を読んで欲しい。。
横田安正著「ドキュメンタリー作家の仕事」出版社: フィルムアート社