アップルストア銀座で開かれた「RED ONEとFinal Cut Studioで実現する映画制作」を見学した。
撮影機材が高機能低価格化すれば、その分だけコストダウンが可能になる。
RED ONEというカメラは、まさにそんな存在として昨年、大きな話題を呼んだ。
4Kという高画質が求められる一方で、コスト圧縮も必要な現場とは、映画である。
その映画のフォーマットが35mフィルムである以上、REDがデジタル→フィルムへの変換の利便性向上へ向かうのは当然である。
そんなデジタル撮影、35m流通を行うための方法論を紹介したのが本セミナーである。
肉弾戦の実演を行った「ハイキックガール」でのハイスピード撮影の紹介はショーとして面白かったし、「築城せよ」では、撮影まわり、編集周りの実際が語られており、とても参考になった。
機材はどんどん進化して行き、制作に必要なコストも下がっていく。製作環境はどんどん便利になっていくのに、作るという行為事態はどんどん難しくなっているような気がする。
鉛筆と紙だけで表現できれば、それ以外に縛られることはない。
しかし、映画は表現するのに機材がたくさん必要だ。
たくさんのものに縛られながら、それぞれのプロを起用して作られてきた歴史がある。
しかし、猛烈な機材の進化が、そんなプロを駆逐しつつある。
そして、新しい機材を自由に扱う能力を身につける事を求めている。
そんな新しい能力を身につけるには、常に新しい機材に挑戦しておく必要がある。
表現する何かを探すことに加えて、何を使って表現するかということにも力を割けない人にはチャンスが巡って来辛い状況なのだ。
一人に求められる能力は、高コストで不便な時代と比較すると、爆発的に増えている。
便利な道具は使ってなんぼ。道具に使われないようにしたいものだ。