今、藤本義一の「よみがえる商人道」を読んでいる。
自分は商人ではないが、読んでいてなかなか身の引き締まる思いである。
自分にとって藤本義一とは、恐れ多い人である。
関西人である自分は、テレビを通じて、その姿見ながらそだった。
藤本義一のなんとも言えない存在感には「大人をナメてはいけない」という脅しめいたものを感じてきた。
さて、20年ほど前、朝日放送がやっていた「驚きももの木20世紀」という番組があった。
自分が勤めていた番組制作会社を含めて10社ぐらいがこの番組の制作を持ち回りで担当していて、それぞれの会社のエース・ディレクターが競いあっていた。
ADだった自分はこの番組でディレクターをすることを目標にしていたが、まずはADとして配属されることをずっと願っていた。
数年後、ようやく念願かなってこの番組に関わらせてもらえることになって、最初にやらせてもらったのが、「映画監督 川島雄三」だった。
自分にとっても、いろんな意味で思い出深い番組だ。
さて、川島雄三を語るなら、今村昌平か藤本義一か?ということで、たしか帝国ホテルで藤本義一にインタビュー撮影をした。
その時の藤本義一の眼差しが忘れられない。
「まあお前らには分からんやろうけどな…」というスタンスで、こちらの聞きたい事を話してくれるわけでも、さりとて話したいことがあるわけでもなく…しかし、ちゃんと番組で使えるようなコメントは最低限してくれる…というような感じ。
この本を読んでいると、20年も前の30分程度のインタビューの時に感じたことを、生々しく思い出す。
どうでもいいようなこと覚えている自分に驚いた。