海外に行くなどして、「日本人」って何だろう?と考えた経験がある人には、ぜひ読んでいただきたいです。意外な考え方、知らなかった事実がたくさん紹介されています。
ところで私、最近になってビジネス書を読み始めたのですが、そこで思うことがあります。
ビジネス書というものは、世界や人間というのはすでにあらかた分析が済んでいて、その分析から導き出された理論で行動すれば大抵のことはうまくいく、あるいは大きな失敗を防ぐことができるという姿勢で書かれているんですね。
この前提を踏襲して、時代の流れに合わせて著者なりの視点やノウハウを紹介していくというのがビジネス書のありようのようです。
大して勉強もせず、徒手空拳で世間に揉まれている私には、そこに書かれていることに、新鮮な驚きを感じます。と同時に、これらを徹底的に学んだ上で、全てをぶっ壊してやりたいという気持ちにもなります。
インターネットの普及と共に、誰もが膨大な叡智に簡単にアクセスできるようになり、以前のように情報を集めることができるということだけで有利な立場に立てるということはなくなりつつあるように思います。
一方で、何の価値基準も持たず、簡単に集められるものでさえ集めずに、検索結果の上位表示だけ、ヒットしているか否かだけで判断する人々も増えているように思います。
情報を膨大に収集したで、それを自身の視点でもって取捨選択し、再構成して作られた本書のような著作は、非常に今日的だななどとも感じてしまいました。
私にとって、この本で最も面白かった部分は、日本人が特殊だという主張に関して、そう叫ばれた背景とそう叫ばれる原因、さらにそれによって生じた損得勘定について分かりやすく解説がなされている点です。読んでいて「確かにその通りだな」と何度も膝を打ちました。
この考え方を知れたことで、かなりの時間と労力を節約できたと思います。
たった1,500円程度でこれほどまでに視野を広げてくれる本はそうありません。
繰り返しになりますが、「海外に出たことをきっかけに日本を改めて考えてみた!」そんな人はぜひ読んでみて下さい!
日本人が幸せになるために:(日本人)
(日本人)作者: 橘 玲出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2012/05/11メディア: 単行本 売れっ子芸人の母親が生活保護を受給していたニュースが問題になった。 あのニュースを見た人はどんな感想を持っただろうか? 公式なニュースに出てくるコメントは「浅ましい」だとか「日本人の品位が感じられない」といった非難コメントが多い。 だが、本書によると、そうした行動は実に「日本人」的な行動なのだ。 …