私は、指名されるのが大好きだ。
「お前に任せる」と言われるために、仕事をしているとさえ言える。
「指名」。
素敵な言葉だ。プライドと金の匂いがするからだろう。
先日も、見知らぬ社長さんから直接電話がかかってきた。
「映像を作りたいんだけど、会社まで来てくれない?」
社長さんはネットで弊社の作品を見て、気に入ってくださったのだという。
自ら制作者を探して、電話をかけてくる社長さんというのは、まず創業社長である。
そして、映像制作の経験がある。だがそれは思い通りにならなかったという苦いものだ。
私は自身の力で、それを覆さなければならない。
当然ながら、創業社長の要求は桁外れに高い。
発する言葉は重い。
よくある、保身やリスク回避を感じさせることはほとんどない。
社長の言葉に対峙するすべは、全身全霊で取り組む以外にない。
採算なんか関係ない。
スタッフにも無理を言う。
これを繰り返すことで、自分とスタッフ、そして会社が成長する。
テレビ番組制作の現場しか知らないバカ者が、成行きで企業ビデオを作る小さな小さな会社を経営することになり、どうにかこうにか6年もたせることができたのは、この職人気質以外に何もない。
だからこそ、この気質をもっと磨き上げねばならない。
この気質が、鈍才集団をオンリーワンたらしめるはずなのだ。
だから、もっともっと指名されよう。
指名されるために、必要な全てをやりぬこう。
そして一日も早く、私以外に指名されるスタッフを生み出そう。