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脚本について② 葛藤の大切さ

脚本について書くのがはたして②なのかは分かりませんがとりあえず②ってことで。

えぇ、先日も葛藤について書きましたが、具体的な内容ではなかったので、今日はもう少し葛藤について書いてみます。
繰り返しですが、葛藤が脚本の全てなので、私にとって一番大切な要素です。

①まず、大人なら誰もが人生の中で葛藤がどれほど大切かわかると思いますが、大切である以上に生まれた時から必然的に抱く感情です。
赤ん坊は誰しも空腹を感じてもすぐ食べれなかったり、眠いのに寝れなかったり、更には親がほんの少しだけ離れたのにもう二度と会えないと思って泣いたりしますよね?

すなわち不安不満は全人類が国籍、宗教、社会地位関係なく幼少時から感じた葛藤です。

という事は、不安と不満による葛藤を映画に取り組めばテーマ、ジャンル、製作技法関係なく人が感情移入できる訳です。
これは本当に素晴らしい事だと思います。
技術はもちろん必要ですが、ソマリアの子供を題材にしても、アメリカの大富豪は感情移入できるし、その逆も(理論上)可能です。
更に不安や不満以外の複雑な葛藤も上手に描けると、映画は一層彩りが増しますね。

②人って基本的に幸せだとみんな似てると思います。
億万長者は寄付など当たり前にするし、食事もおごるし。幸せな人は人に笑顔で接します。
不幸な時こそ人の個性が表れます。貧しいのに隣に飢えている人がいたらパンを分けてあげる人(ディズニーのアラジン)、意地でも渡そうとしない人。
不幸だとヒステリックになる人、落ち込む人、輝き続ける人。
葛藤は人の本当の素顔を暴き出す素晴らしいツールなのです。

③さて?葛藤はどうやって抱くものなのでしょうか?
まず、満たされないという事は望みがあって、それが手に入らないという事ですよね。
すなわち、「目的があって、障害物があって、葛藤が生まれる」という形になると思います。

効果的な葛藤を抱かすためにはそれにあった目的、そしてそれにあった障害がとっても必要です。
簡単すぎてはつまらない。難しすぎては主人公も観客も諦めてしまう。
ストーリーを通して、障害の高さを徐々に上げて、毎回主人公が越えられるギリギリの高さに設置するのです。
書いてみると、本当に当たり前ですが、これがしっかりできている映画は意外と少ないですよね?
アクション映画でスナイパーの目線でスコープの中央を記す※が主人公の頭に合っているのに、撃った瞬間、机の瓶が割れるシーン。たまにありますよね?
これは主人公に取って不意打ちで一流のスナイパーに狙われているというハードルが高すぎたため、誤摩化してしまった例ではないでしょうか?

④葛藤の質とは?
本当はもっと複雑ですが(難しい事を上手に伝える自信が全くないので)葛藤の一種の仕分け方としては
    a)内側から来る葛藤。ある女性に恋してるけど、シャイで話しかけれない。息子をボクサーにしたのに、その息子はダンサーになりたい(映画「リトルダンサー」の父親の葛藤)。
プライドやエゴ、逆に優しさ、臆病さ。自分の中で起爆する葛藤です。
    b)外側からの葛藤。急いでるのに渋滞が起こってる。宇宙人到来。世界が静止する。大津波。トルネード。日本沈没。(例の中に既にいくつものタイトルも含まれてますね。)等々。

はっきり言って、a)の方が葛藤の質としては1ランク上だと思っております。これに関しては意見は人それぞれでしょうけど、最初に書いた千差万別に感情移入させる手段としては、内なる葛藤の方が強いと思います。

撮影にそろそろ出るので、この辺で今日は終わります。
この日記に対して「それは違うだろ!」的な意見が殺到してくれたら勉強になるんですけど、そんなことは起こりませんでしょうね。

最後に、PS的な感覚で。
以前、赤羽君と脚本の本質について話したとブログに書きましたが、そのとき彼は「勧善懲悪」と答えました。

良いものは良い!悪いものは悪い!という観念が嫌い(彼は完全否定ではなく、自分が無理だって話でした。)
何色にも染まらない主人公内なる葛藤の幅が減るのは確かですね。すっごいべっぴんさんと会っても「私は知らない女性に手を出さない」という風に決めてるは何も感じないでしょう。「うひょひょ!いい女だ!付き合っちゃう!」って人にもあまり葛藤はないですね。
やっぱり「私は知らない女性に手を出さない」って思ってる人が惹かれて行く様を描くのが一番葛藤が多いですよね?

勧善懲悪の世界でも、外からの障害等によって葛藤が生まれたりしますし。何より、勧善懲悪のストーリーは子供の成長過程に必要不可欠な構成でもあります。
三匹の子豚ではオオカミに感情移入させない様に、一番真面目に家を造った子豚に感情移入させるように。オオカミや蛇は大体悪役で、すっごい悪いです。
この事については、只今ブルーノ・ベッテルハイムという心理学者の本を読んでいてまだまだ勉強中ですが(その本を読むと、自分がまだまだ幼稚な5歳児と同レベルの考え方、現実の捉え方を持ってるのが見えてきて落ち込む事も多いのです。)。
しかし、勧善懲悪にも、「良い勧善懲悪(物事を伝わりやすくする)」と「悪い勧善懲悪(物事を貧しくする)」があると思っている事を伝えたかったのです。

以上。

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