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昨日は映画の日 「ボーイズ・オン・ザ・ラン」

森です。

昨日は2月1日。
そう、映画の日。

メディアフォーユーの福利厚生のひとつ、
「毎月1日映画の日は映画を見くべし!」
という社則に則り、昨日は夜、映画を見に行かせて頂きました。

向かったのはシネセゾン渋谷。
思えば、見る映画は結構ここが多い気がする。
「パラノイド・パーク」や「エヴァンゲリオン破」もここでした。

今回見た映画は「ボーイズ・オン・ザ・ラン」。
ビックコミックスピリッツに連載されていた漫画原作の映画だ。
連載当時から、僕は毎週読んでいたのだが、
内容は結構うろ覚え。
人気漫画!と銘打てるほどの人気もあるとは全く思えなかったが、
結構単行本もヒットしたみたいだ。
「ソラニン」を筆頭に、迷える若者っていうのが親近感を生み、
流行っているのだろうか・・・。

とまぁ結局、漫画原作は知っている状態で鑑賞したという事。

そして鑑賞。
ここからやや、ネタバレ注意。

・・・結構笑い声が聞こえる。
僕も笑う。

主演の峯田が役にハマリすぎていて凄い。
主人公の田西は、愛想笑いもできない、シャイで不器用な男。
演じた峯田も実際人見知りキャラらしく、女の子ともまともに話せないと、
インタビューで見たことがある。
実際、ヒロイン役をつとめた黒川芽以ともなかなか話さなかったらしい。

峯田の役のハマリ具合を筆頭に、
映画の中のリアルを追求した作品だと感じた。

ここでのリアルというのは、ありえないだろって事も起こりうる。
映画の中のリアルだから。

本当に、現実的なリアルでは、つまらなさすぎるのは目に見える。
映画でしか起こらない様な事が起きなければいけない。
しかし、実際に起こってもおかしくないと、いかに見せれるか。
そこで重要なのが映画の中のリアル。

登場人物が、実際に生きているようにいかに思わせる事ができるか。
それは行動であったり、台詞であったり、服装であったり。
様々な要素を組み合わせ、映画の中のリアルを構築していく。
そのリアルがあるからこそ、映画的な突拍子も無い出来事を観客は受け入れる事ができる。

今回、そのリアルを一人で体現していたのが、主演の峯田ではないだろうか。
峯田は誰が見ても、駄目だそっちにいっちゃ!って方向へ向かう。
しかし自分の過去の行動を振り返れば、
駄目な方向へ言ってしまうのが、リアルな人間の姿とも思ってしまう。

映画の前半で、駄目な峯田を存分に見せ、
観客を物語に引きこむ。
リリー・フランキーみたいな社長はいないんじゃないだろうか・・・とか、
そういう疑問を打ち消すだけの力が、峯田の演技にはリアルさがあった様に思う。
断片的に見れば大げさにも見えるかもしれないけれど。
なんとなく、実際の峯田もこんな感じなのかなとか思わせる力はあったと思う。
これは、「タナカヒロシのすべて」で鳥肌実が見せた演技に近いものがある。

後半、峯田はありえねーだろ!って普通なら思ってしまう行動をとる。
しかし前半で見せてきた行動が、変な信憑性となって、
なんとなく納得してしまう。
そして、ありえねーだろ!って行動を「カッコいい」と思わせてしまう。
駄目な男がカッコいいヒーローになる。
まさに映画の王道、アメリカンドリーム的な流れ。

しかし結局、映画の中では行動だけ見れば、峯田は駄目な男のままだ。
だけど、カッコいいと思えてしまう。
この映画がいいなぁと思えるのはこの点だ。
こればっかりは見てもらった方がいいと思うので詳しくは書きません。
公開したばっかりなので。
後日書きます。

と、まぁ賞賛ばかりしてましたが、
何か足りないなぁとも感じたのです。

その足りない部分とは、ズバリ、ヒロインの魅力。
こう言うと、黒川芽以さんが全然魅力無いって捉えられそうだが、
そういう事では無い。
このヒロインと、主人公が結ばれて欲しい!
そう思えない。という意味である。

序盤はかわいく見せていたのだが、
だんだんと嫌な女に。
それが、これでもかってくらいにリアルに思えた。

なんでこうなっていたのか?
という疑問と同時に、
漫画はこんなラストだっけ?
という疑問も浮かんだ。

原作を読んだ時には感じなかった物足りなさ。
うろ覚えの記憶を遡る。

そして重要な事を思い出す。
漫画には居たヒロインがいない!!

思い出すまで、別の漫画のヒロインだと思っていました。

映画に出てくるのは、
アンチヒロイン的な役割を担った、ちはるという役のみ。
これは、黒川さんに魅力を感じれなくても、仕方ない。

峰田のかっこよさを引き出すための潰れ役と言ってもいい。
そうは言っても、映画の中で峰田が惚れても
おかしくないと思わせるだけの魅力はあったと、追記しておきます。

ヒロインが何故いなかったのかは、長くなるので割愛しますが、
この漫画を映画にするならば、これ以上は結構難しいと感じた。
本当のヒロインを切る。この決断は、僕は成功だったと思う。
漫画でやってる時も、ここで終わればいいのにと感じていたので。
その結果、何か物足りなさを感じるのだとすれば、
それは元々映画に向いていないストーリーだったという事。

だがしかし、それでもここまで
主人公に魅力を持たせる事が出来る映画は、
なかなか無い。

そう思った時には、もう、
物足りなさなど忘れて、
いい映画だったなぁと、席を立つのみである。

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