昨日のロケ帰り、駐車場で久しぶりにつまずいて転んだディレクターのトミーです。
歩行という基本的な人間の動作にも、老いを感じる日々です。
今日は、映像制作における『仕込み』の違いについてお話しします。(あくまでも自分の経験からです!)
『仕込み』とは
『仕込み』とは、簡単にいうと準備のことです。
撮影における”仕込み”ならば、ロケ場所、出演者の手配、ロケバスの手配、スタッフの手配、カメラや照明のセッティングなど撮影において、事前に準備することを指します。
編集ならば、編集所の確保、ナレーターさんの決定など、納品までのあらゆる作業を準備します。
限られたスケジュールの中で、段取りを決め、効率よく、円滑に撮影を進めていく為には非常に重要な作業です。
この『仕込み』が不十分だと、狙っていた映像が撮影できない、無駄に時間がかかり手間と費用がかさむ、など良いことは何もありません。
TV番組と企業映像VPとの仕込みの違い
『仕込み』の違いを一番感じる部分というのは、撮影の段取りにおいてです。例えば企業密着系の映像を制作するとして、テレビでは取材先のロケ交渉は、すべて制作側で行うことが多いです。番組を構成する上で必要なシーンや関係者のインタビュー(取材対象となる企業の関係先など)においても、制作側で撮影申請を行っていきます。しかし、VPにおいては、企業側が中心となって進められるケースが大半です。これも当然といえば当然ですが、企業(撮影対象)の立場として、TV番組での取材に協力しているのか、自社のPRのためお金を出して動画を制作しているのかという大きな違いから生じるものです。しかし、この違いによって、いくつかの問題が生じてくるのも事実です。
例えば、テレビ取材においては、番組内容の決定権はテレビ局が持っています。ロケを行ったとしても、最終的にカットされるケースも多々あります。
そのため、撮影時にその旨を先方に理解してもらった上で行っている事が多いです。内容に関して事前にチェックをすることはほとんどありません。
しかし、VPにおいては企業の担当者が、社長や上司、企業のクライアントの取材を仕込んだ場合、使わずにカットという選択肢は大抵の場合ありません。制作の中で優先しなければいけない事もあるという事です。
また制作側が仕込みを行えないことによって、効率的な撮影の段取りを組むことが難しい場合も出てきてしまいます。
「もっとこんな画が撮りたい!」「こういうシーンが必要だ!」など、いろいろ感じながらも、折り合いをつけて、そこで出来るベストな撮影をしているのです。
映像を作る上での制約というものは、どんな種類の映像であっても必ず存在するわけで、”限られた時間”、”限られた予算”の中で最高のものを作りたいというディレクターの気持ちは変わりません。
私たちのやるべき事は、どんな状況であれ良い作品を制作するために、日々精進するだけなのです!