こんにちは、赤羽です。
まだまだ厳しい残暑が続いています。
このまえ知人のダンス公演を観るために芝公園の近くに行きました。劇場ではなく、ある小さな廃墟で上演されるというユニークな公演でした。
廃墟なので当然、クーラーはなし。照明も最小限。上演中も、壁を伝ってゼネレーターの大きな音や蝉の声が会場内に響いていました。
そんな中で汗を流しながらの鑑賞は、思いのほか快感(?)で、暑さも暗さも狭さもさほど気にならず(以前ある演劇を観に行った時、狭い客席でスシ詰めにされながら鑑賞し気分が悪くなったことがありますが)むしろ台詞もなく寡黙に演じられるダンスが、蝉の声と相まって真夏の幻想のようで、観終わった後もしばらく現実に戻れずボーッとしてしまったのでありました。
だからというわけじゃないのですが、会場を出たあと無性に東京タワーに行きたくなり、おそらく小学生のころ家族旅行で来て以来約20年ぶりくらいに大展望台に登りました。
中沢新一の『アースダイバー』に詳しいですが、東京タワーのある辺りは縄文時代、岬の突端にあり、古来、岬は神聖な場所とされていたためそこに寺や神社、墓所が建てられるようになったそうです。言われてみれば東京タワー周辺ってお寺やお墓が多いですよね、確かに。
更に、東京タワーの建設に使われた鉄骨は、朝鮮戦争で使用され廃棄処分になった戦車をリサイクルしたものだとか。
繁栄の象徴の如きあの鉄塔にも、実は「死」と深い繋がりがあったのでした。
奇しくも時はお盆。そして終戦記念日のある月。
一年の中で、もっとも「死」というものを深く考える時期なのではないかと思います。
そんな時期に、幻想的なダンスを観て、東京タワーに登り、異界に想いを馳せるのもなかなか悪くないものです(毎日異界に想いを馳せてたらさすがにまずいですけど)。
今度からお盆の時期は毎年、東京タワーに登ってみようかななどと思う脚本家見習いの8月なのでした。