水曜日の森です。
黒澤プロダクションと龍谷大学はこのほど、故黒澤明監督が残した創作ノートや台本、直筆メモなどの資料をデジタル化してまとめた「黒澤デジタルアーカイブ」を公開した。無料で閲覧できる。
少しだけ覗いてみましたが、黒澤監督の書き込みのある台本等が、
しっかりと文字が読める程鮮明に掲載されていました。
メモの類い等は、まとめれば映画の教科書にできるのではないかという程、
大変興味深い思慮がめぐらされていました。
こういったデジタルアーカイブの動きはこれからも益々増えていくと思います。
しかし、無料で誰でも閲覧できるという事に対しては異論も当然出てくるのでしょう。
※
そもそもデジタルデータというのは、複製も容易で、
外部からの損傷を受けない、半永久的に保存できるものと捉えられがちですが、
その実、データを物理的に保管するHDDの単体での寿命は僅か10年にも満たず、
DVD等の光メディアの寿命も、20年、DVテープで30年程と言われています。
しかも、僅かでも損傷すれば全て消えてしまうというもの。
映画で古い年代のものを、絵画修復の様に、
公開当時の画質まで復元し、保存する事を、フィルムアーカイブと呼びますが、
その名の通り、デジタル技術で修復したものでも、最終的にはフィルムに焼き付けます。
フィルムに記録されたものは、特定の環境で保管すれば、数百年は状態を維持できるそうです。
日本ではフィルムアーカイブの技術が欧米に比べ、かなり遅れているそうで、
黒澤監督の映画も、相当酷い状態になってしまっていると聞きます。
フィルムアーカイブの動きは、
歴史の浅い、映像、映画という文化が、
絵画や彫刻といったものと同じく、文化遺産として認識される第一歩ではないでしょうか。
映像は、撮影して記録するという行為から始まるという事を考えると、
残されるべきものであるのが正しい姿だと思うし、
残されるものをつくらなければいけないと日々感じています。
しかし、実際は消費されていくものが大半なのではないか、という現状も同時に実感しています。