どうも月曜日の森です。
これから毎週月曜日は、アニメ作品を紹介していきたいと思います。
アニメというと、オタクや秋葉原を連想される方も多いのではないでしょうか。
実際に、今やガンダムシリーズですら萌えキャラや、
腐女子に媚びた男性キャラクターを登場させている始末。
そりゃ和製アニメはジブリしか見ないという方も増えますよ。
そこで、アニメと聞いて拒否反応を起こす方でも、
抵抗無く見れるオシャレなアニメを紹介していこうと思います。
今回紹介するのはオムニバスアニメ映画『MEMORIES』という短編3部作の中から、
『大砲の街』を紹介します。
そもそも『MEMORIES』は『AKIRA』で知られる大友克洋を総監督として制作された
三部構成のオムニバスアニメ映画。
そしてこの三部作の中でも『大砲の街』は、
他の二作と違い大友克洋自身が監督、原作、脚本、キャラクター原案、美術を担当している。
他の二作、『彼女の想いで』『最臭兵器』も面白いのですが、
やはり世界の大友が監督をすると、こうもオリジナリティが生まれるのかと感動します。
蒸気機関によって構成された街を舞台にしたこの作品の描写は、
後の大友作品『スチーム・ボーイ』へと継承されています。
※
『大砲の街』の中で大友監督がチャレンジしたと思われるのは、
映画でよく使われる、ほぼワンシーンワンカットの長まわしを、
アニメーションでやってみせた事。
従来のアニメはカット変わりのテンポが速い。
確かに実写と違い、アニメは人やキャラクターを動かすのに手間がかかるので、
カットを変えて視覚的な変化を与えなければならない。
なので一見、テンポの良い映像に見えても、人が全く動いていなかったりする事は多々ある。
これは予算の少ないアニメによく見られるし、
実写でも下手なミュージックリップやTVドラマ等にも見られる。
このカットをどんどん変えていく技法がうまくいく事も、もちろん多々あるが、
実際にはそのシーンの事を覚えていなかったりする事にも繋がっている。
人が、キャラクターが何をしていたのか見えていないからだ。
そこで大友監督は労力を惜しまず、キャラクターをワンカットの中で動かす技法を選んだのだろう。
さて、ワンカットをやる時には単にキャラを動かせばいいという事では無い。
周りの状況(背景)も変わるだろうし、
キャラが動くという事は視点も変えなければいけない。
実写でいうカメラのパンや、ズーム、トラックバック等を使って、
フレーミングを変えていく作業をしなければならない。
アニメーションでこのフレーミングが変わっていく作業をするのはかなり難しいはずだ。
パースを考えるのはもちろんだが、フレームがどんどん動くという事は、
実写でのレンズが何ミリだとか、被写体までの距離がどれくらいだとかを、
しっかり計算しなければならない。
近代日本アニメの巨匠と言われる、
大友克洋や押井守はレンズの特性を熟知しているので、
革新的なアニメーション映像を生み出す事ができる。
特に押井監督が魚眼レンズをイメージしたカットを多用する事は有名。
大友監督も昔自主制作映画をやっていたらしいで、
実写のカメラを意識した映像制作になるのだろう。
ちなみに、この二人のアニメ作家は実写映画の監督もしている。
※
長々と御託を並べましたが、
実際に『大砲の街』を見て頂ければ色々な発見をする事ができると思います。
そして見終わった後、この映画の公開が13年前、1995年だったという事に驚くと思います。