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映画「マジでガチなボランティア」ができるまで #001 石松くんと出会う

ドキュメンタリー映画「マジでガチなボランティア」が生まれるまでの経緯を書きます。

先日ある映画監督が 「映画は、作りたい時ではなく、作らざるを得なくなった時に作られる」 というお話をされていました。

今の自分は、まさにそうだと感じています。

私はテレビ番組の制作を10年ほど経験し、その後、企業映像の制作に携わるようになりましたが、 ドキュメンタリー映画を作るということを考えもしませんでした。

しかしいろんな出会いを経て、なぜか今、今年の秋の劇場公開に向けて活動することができています。

叶う前の夢を語ることはおこがましいことですが、 もしかしたら映画を志す人に何かの参考になるかも、と妄想しつつキーを叩いています。

 

前置きが長くなりましたが、まずは取材対象との出会いから記します。

ドキュメンタリーをつくる上で最も重要なことは、「撮らずにはいられない」取材対象と出逢ことだと思います。

制作者は誰もが必死でテーマや人を探していることと思います。

でも僕の場合、それは偶然やってきました。

 

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2007年2月27日、取引先の社長さんから1通のメールが届いた。

 

 

里田様

24日土曜日に100近くの学生団体が集う「きっかけ」イベントに参戦 http://www.kikkake.jp/ とても有意義で必然的な出会いばかりでした。 その中でも一番衝撃的だったのがカンボジア支援団体。 医大生中心のサークルですがなんと学校建てちゃいました。

今度は1万人収容できる病院を建てたいそうです。 見た目はロン毛でちゃらちゃらしてそうな風貌ですが 中身はとてもしっかりしています。ハートを感じます。 http://hiro0402.exblog.jp/

彼らの何か役に立つことを真剣に考えました。

 

 

 

BLOGには、自分たちがカンボジアに建てた小学校の、開校式に参加した時の思いが綴られていた。

 

2006年8月16日 あなたは何をしていましたか?

家族と海外旅行していましたか? 中学時代の仲間と、海でビーチバレーしていましたか? 高校時代の仲間と、山でキャンプしていましたか?

いづれにしても、「2006年 夏」をきっと楽しんでいたことでしょう。

そして、僕らもその例外でない 僕らは、大学で出会った55名の仲間とかけがえのない夏を過ごした。 あなたが、きっと名前しか知らないカンボジアという国で、「GRAPHIS 小学校」の開校式を行った。

その光景は、一生忘れることはなく その光景は、人間の本来あるべき姿を教えてくれた。

世界中どこでも、心はひとつ 世界中どこでも、想いはひとつ

 

 

このBLOGを読んで、忘れていた感覚が蘇った。

私も大学生の頃、バックパックを担いで一人で海外旅行をした。

東アジア、東南アジア、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ。

様々な人と出会い、いろんな話を聞かせてもらった。

私は特に「悲しいこと」に惹かれた。

歴史や政治や民族や宗教や貧困のために起きた「悲しい出来事」。

当事者から直接聞く悲劇には心が震えた。

しかし、私はそれを知っても何もしなかった。

瞬間的に同情し、やがて忘れる。知ったつもりになる。それを繰り返した。

知ったことに対して何もできない自分がたまらなく嫌だった。

そして、自分が知ったり感じたことを大勢の人に伝えることができるようになろうと考え、テレビディレクターという職業を選んだ。

「新世界紀行」「NHKスペシャル」を志した。

だが、バラエティー番組やワイドショーの制作に追われ、自分のやりたい企画も通せず、10年経ってテレビから離れた。

そんな私には、すでにカンボジアに小学校を建て、次は病院を建設するという彼らの行動力は驚きだった。

 

 

その後、メールをくれた社長さんが資金を出して、彼らの活動を紹介するための映像を作ることになった。

打ち合わせのために、社長さんの会社で彼らと会うことになった。

当日、サークルの代表、石松宏章くんが現れると「本当なのね」と思った。

BLOGに掲載された写真のとおり、いかにもイマドキな感じの「ギャル男」だったからだ。

だが派手な見た目とは裏腹に、石松くんはきちんと自分たちがやっていることを話した。

そんな彼に好感をもった。

 

帰り道、地下鉄で途中まで石松くんと一緒に帰った。

隣でつり革を持つ石松くんを、「医大生ってことは頭いいんやろうな〜」「モテるんやろうな〜」と思いつつ、他愛もない話をして、そのまま下北沢で別れた。

 

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この時、後に彼のドキュメンタリー映画をつくることになろうとは、夢にも思いませんでした。

「若い頃の気持ちを思い出させてくれる、いい奴と出会えた」そんな認識でした。

彼という人物は非常に興味深かったのですが、無名ですし、まあ学生の活動なのでどんなことになるかも分からないとも考えていました。

当時の私はテレビで教わった物差しで物事を見ていて、いろんなことを見過ごしていました。

自分が作らなければならないものも全く分かっていませんでした。

でも今は、この時より少しは見えているような気がします。

石松くんが取材を通じてそれを教えてくれました。

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